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JR石北本線・釧網本線の現状と取り組み「鉄道を守るために、いま、できる行動を」

ページID:0002395 更新日:2023年12月4日更新 印刷ページ表示

平成31年4月号「鉄道を守るために、いま、できる行動を」[PDFファイル/5.73MB]

JR北海道は平成28年11月、「当社単独では維持することが困難な線区」として輸送密度2,000人未満の10路線13線区を発表しました。
これらの線区についてJR北海道は、「それぞれの地域に適した持続可能な交通体系のあり方について、地域の皆様にご相談させていただきたい」としています。
発表された単独維持困難線区の延長は北海道の鉄道総延長の半分を超え、この中には、網走駅が起終点の石北本線と釧網本線が含まれています。

JR北海道路線図

石北本線の特性と現状

石北本線は、網走と旭川を結ぶ234キロメートルに及ぶ特急列車の運行路線です。

オホーツク管内の拠点都市、北見・網走と、旭川、札幌圏をつなぐ重要な路線で、オホーツクからの農産品などを輸送する広域物流ルートとしての役割を担っているほか、沿線地域は国の広域観光周遊ルートに指定されており、外国人旅行者などによる交流人口の拡大に向け、重要な役割を果たすことが期待されています。

近年では、高速道路(高規格道路)の延伸に伴う自動車や都市間バスなどの利用の増加、人口減少といった環境変化により、昭和50年に比べ、輸送密度は約5分の1にまで減少しており、線区の収支も、年間約42億円もの赤字が生じています。

大正元年に完成した女満別トンネルをはじめ、建設から100年を超える老朽土木構造物が多く存在し、維持管理のほか、集中豪雨による災害の発生などの課題を抱えています。

また、車両更新、土木構造物の修繕には、今後20年間で171億円の費用が必要であるとされています。

石北本線輸送密度平成29年度石北本線収支

釧網本線の特性と現状

釧網本線は、網走と釧路を結ぶ166キロメートルに及ぶ路線です。

オホーツク海の流氷、世界自然遺産知床、阿寒摩周国立公園、釧路湿原といった観光資源に恵まれ、沿線に数多くの観光地を有する全国的にも極めて稀な路線で、道東の観光振興にとって大きな可能性を有しています。

流氷物語号、くしろ湿原ノロッコ号、SL冬の湿原号といった観光列車も運行されています。

沿線地域には現在、高速道路(高規格道路)整備は計画されていないため、今後、外国人旅行者などによる交流人口の拡大に向け、周遊ルートを形成する路線として重要な役割を果たすことが期待されています。

近年では、人口減少といった環境変化により、輸送密度は昭和50年に比べ約5分の1にまで減少しており、線区の収支も、年間約15億円もの赤字が生じています。

大正14年に完成した濤沸川橋梁などの老朽土木構造物が多く存在し、湿地帯にある線路の維持管理のほか、冬期間には吹き溜まりが多発し、除雪の対応などに課題を抱えています。

また、車両更新、土木構造物の修繕には、今後20年間で49億円の費用が必要であるとされています。

釧網本線輸送密度平成29年度釧網本線収支

JR北海道の考え

JR北海道は、単独維持困難な線区について次のように示しています。

赤色の線区(輸送密度が200人未満の線区)

鉄道よりも他の交通手段が適しており、利便性・効率性の向上も期待できるため、持続可能な交通体系とするためにバス等への転換について地域と相談したい。

黄色の線区(輸送密度が200人以上2千人未満の線区)

鉄道を維持する仕組みについて、駅や踏切の廃止などによる経費節減、日常の利用促進策などを軸に地域と相談したい。その上で、輸送サービスを鉄道として維持すべきかどうか検討したい。

石北本線と釧網本線はここに該当します。

JR北海道の経営改善に向けた国の動き

国土交通省は平成30年7月、JR北海道に対し、経営改善の取り組みを着実に進めるよう監督命令を出しました。その内容は、北海道新幹線の札幌延伸効果が現れる平成43年度にJR北海道が経営自立することを目指し、徹底した経営努力を求めています。

赤色の線区は、「鉄道よりも他の交通手段が適しており、地域の足となる新たなサービスへの転換を進める。」とされています。

黄色の線区は、「JR北海道と地域の関係者が一体となって、利用促進やコスト削減、実証実験や意見聴取などの取組を行い、持続的な鉄道網の確立に向け、2次交通も含めたあるべき交通体系について、徹底的に検討を行う。」とされています。

また、国は、JR北海道の鉄道施設及び車両の設備投資・修繕に対して支援をしますが、沿線自治体にも同水準の支援を求めています。

網走市の考え方

石北本線と釧網本線は都市間をつなぐ重要な路線ですが、地域住民の利用は主に高校への通学で、今後、人口減少が見込まれる中、利用の拡大を図ることは難しい状況です。

このため、地域での生活利用の促進に加え、観光を切り口とした利用増加策を推進することが、地域住民の足を守り、鉄道という貴重な財産を次の世代に残すことにつながるものと考えています。

また、「地域自らの積極的な取り組みがなければ鉄道は廃止になる」との考えから、鉄道の存続という広域的な課題に対し、北海道、沿線自治体、JR北海道など関係機関と連携し、両路線の存続に向けた取り組みを進めています。

網走市の取り組み

観光利用を増やす取り組み

  • 沿線自治体やJR北海道、外部事業者などと協力し、釧網本線の観光鉄道としての価値を高め利活用の可能性を探る実証実験として、釧網本線2日間乗り放題、摩周レストランバス、知床探検バスをセットにした交通パスを販売する取り組みを進めています。
  • 鉄道を利用する方を対象に市内宿泊料金の一部を助成し、市内への誘客を進めています。
  • 各旅行会社と協力し、鉄道を利用し市内へ宿泊する旅行商品を造成しています。
  • 石北本線の特急列車車内で特産品の販売に取り組んでいます。
  • 流氷観光シーズンに運行される「流氷物語号」において、市民団体と共に賑わいの創出、魅力の向上に取り組んでいます。

地域住民の利用促進・マイレール意識を醸成する取り組み

  • 幼稚園、保育園、認定こども園が取り組む汽車遠足などでの利用に、乗車運賃を助成します。
  • 小中学校の学校活動での利用、中学校・高校の部活動での利用に、乗車運賃を助成します。
  • 子育て世帯、子ども会、グループなどで実施する小旅行での利用に、乗車運賃を助成します。
  • 町内会などの団体(企業を除く)での小旅行での利用に、乗車運賃を助成します。
  • 鉄道の賑わいの創出や利用促進に向けた、市民団体等による自発的な活動を支援します。

鉄道を守るために、いま、できる行動を

本格的な人口減少社会の進展により、保健、医療、福祉、地域交通など、生活基盤を維持、確保することさえ困難になるなど、これまでに誰も経験したことのない大変厳しい時代を迎えようとしています。

JR北海道問題は、国、北海道、市町村、JR北海道など、すべての関係機関が連携し、解決に当たらなければならない大変大きな課題です。

こうした大きな課題を乗り越えていくためには、市民、団体、企業など、地域の皆さんの協力が欠かせません。
皆さん一人ひとりが、JR北海道問題を地域の課題として捉え、関心を高め、それぞれが今できることに取り組む行動が何よりも大切です。

「年に一度は鉄道を利用する」
「出張はなるべく鉄道を利用する」
「駅の清掃や花を飾るボランティア活動をする」
「列車を見たら手を振ってみる」

など、皆さんができる範囲の行動で構いません。

網走市では、引き続き、市内外でさまざまな関係機関と連携し、生活利用と観光利用の観点から鉄道の利用促進に取り組んでいきます。

地域の皆さんも一緒に、できる範囲でJR北海道を応援しませんか。

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